Helppad を排泄ケアの PDCA に活用!「見えなかったものがデータで見えてくる」

法人/施設名
八千代美香会 船橋市特別養護老人ホーム 朋松苑
インタビュー日
2021/07/19
Helppad をご使用いただいている船橋市特別養護老人ホーム「朋松苑」様にインタビューを実施しました!
 
 
左上: aba 沼田 右上: aba 加賀美 下 : 左から、朋松苑職員 濱口様、斎藤様、古川様
 
aba 加賀美: こんにちは! 九州にある立命館アジア太平洋大学の加賀美と申します。 本日はよろしくお願いいたします。
 
職員のみなさま: Helppad 導入時から携わらせて頂いていました、ケアマネージャーの斎藤と申します。 介護職をやらせて頂いている古川と言います。 介護職の濱口です。よろしくお願い致します。
 
 
 

普段のお仕事の様子

古川: 私の方では利用者様を30名ほど担当しており、その中で身体介助のほうをお手伝いさせて頂いているといったところで。仕事内容としては、排泄、食事、その他もろもろありますね。
 
斎藤: 私は、ケアマネージャーと言いまして、古川さんがおっしゃった排泄や入浴、食事など、一般的な利用者様へのサービスを介護保険の書類の中にまとめて、位置づけて、 みんなで振り返ったり、話し合って、こうした方がいいんじゃないか、みたいにやっているのが主な仕事ですね。 ただ、施設って色んな委員会があって、古川さんも濱口さんも、排泄褥瘡委員会というので今回、Helppadに携わらせていただいています。
 
aba 加賀美: 3名とも排泄褥瘡委員会に所属されているということなのですね。
 
濱口: 私は介護職なので、ご利用者様の1日1日の状態を把握して介護をさせて頂いている形ですね。
 
aba 加賀美:ありがとうございます。
 
 
 

介護において大切にされていること

aba 加賀美: 次にお訊きしたいのですが、ふだんのお仕事、とくに介護で気を付けていらっしゃることや、大切にしていらっしゃることがあれば、お訊きしてよろしいでしょうか。
 
古川: 利用者様が 30名いる訳なんですけれど、1人1人の特徴だとか、どんな意識をもっているのかといったことを考えつつ、みんな同じというよりかは、1人1人に合った介助をしていけたらいいかなと思って仕事をしております。
 
斎藤: シフトなので色んな業務体制で変わるので、まぁ一番自分が大切にしているのは、出勤時にご利用者様と同じ目線に立って、今日どういう感じなのかな、お変わりないのかな、と直に感じさせていただいて、それを仕事に活かせて頂いています。
 
 
 

Helppad 導入前の排泄課題について

aba 加賀美: ありがとうございます。また、Helppad の導入についてお伺いしたいなと思っているのですが、導入する前には、どういう排泄の課題があったのでしょうか。
 
斎藤: 導入前ですと、この施設では決まった時間に排泄のチェックに入ることになっておりまして、どうしても時間が過ぎてしまってから排尿があったりすると、次のチェックまで、3、4時間ほどあいてしまうのです。その間の皮膚状態が心配なので。 排泄時間をどうしようかね、とか、(見まわりの)回数を増やしたほうがいいんじゃないの?といった話は上がっていました。
 
aba 加賀美: やはり、見廻りチェックの直後に排泄されてしまうこともあるんですね。患者さんの皮膚の状態がよくないといったのは、どういう状態でしょうか。
 
古川: やっぱり湿った状態になると、皮膚がやわらかくなるので、やぶれてしまって皮膚が切れやすくなってしまいます。それが強くなると褥瘡といわれるものになってしまって、褥瘡になってしまうと治りがどんどん遅くなってしまいます。 乾燥した状態といいますか、おしっこが皮膚に当たる時間はなるべく短くしたいと思っております。
 
aba 加賀美: そのために、排泄の適切なタイミングというのが大切になってくるかもしれないですね。
 
 
 

Helppad の活用方法

aba 加賀美: 排泄ケアの際に、現在 Helppad はどのように活用されているのでしょうか。
 
濱口: Helppad を利用してデータを収集できるようになったので、排泄時間を見直せるようになりました。 1日1回、排泄の時間が決まっていたのですが、今後は本人に合わせて、そのデータによって排泄に合わせれたらなと思って活用させてもらっています。 今までは、夜間も、職員の感覚でおむつチェックに入っていたので、今後はデータをもとにして、一番には利用者様にゆっくり休んでいただけることを目標にしています。 おしっこが出て気持ち悪い時間を少なくして差し上げたい。 Helppad では、見えなかったものが実際にデータで見えてくるので、適切な排泄時間がわかったように思います。
 
aba 加賀美: そのあとは、利用者様の様子や過ごし方に変化はありましたか?
 
濱口: すぐにはまだわからないところもあるんですが、朝スッキリ目が覚めて頂けたり、昼間も活動意欲が湧いてきたらいいなと思っております。
 
aba 加賀美: ところで、朋松苑様の方では Helppad は何台導入されて、どのように活用されているのでしょうか。
 
斎藤: きっかけなんですけど、2019年に船橋市の方からおすすめがありまして、地元のものづくりグランプリで、Helppad という認定された商品があるっていうことで、取り組み始めたので、もう2年くらい利用しています。 それで今、2台運用していて、初めの頃は1ヶ月ごとに2ユニットで使って、また次に回していくという風にやっていたんですけど。 今はですね、2ヶ月の間隔でゆっくり期間を作って、モニタリング・振り返りを行って、後半の1ヶ月も同様に行なうっていうリズムでやっています。
 
aba 加賀美: 現在は1回ごとにもっと時間を取って、モニタリングまで行なっているんですね。
 
斎藤: 最初に1ヶ月ごとに回していた頃は、色々データが取れてわかったことがあっても、それを活かす前に次のユニットへ回してしまっていたんですけど、いまは2ヶ月ごとに回すようになって、最初の1ヶ月でデータを取って、それに基づいて後半の1ヶ月で業務を改善する、といった形になりましたね。 ある程度長い期間使った方が、自分たちのやり方に Helppad が合っているのかなと、みんなの意見でわかってきたので、そういう運用の仕方をしている感じです。
 
aba 加賀美: Helppad を使用されている利用者様からは、どのような感想が寄せられていますか。
 
濱口: 利用者様は要介護が高い方、寝たきりの方だったり、お話が難しい方が多いので、使っている方の印象や感想が聞けていないのが現状です。
 
aba 加賀美: そうなんですね。今、長く使用している Helppad の利用者様については、その方の排泄の適切なタイミングがだんだん見えてくるのでしょうか。
 
濱口: 1日に5回、朝から夜まで、0時から12時まで5回で入っているんですけど、そのタイミングに合わせられるようになってきたのではないかなと思います。
 
aba 沼田: 斎藤様がいつも本当に丁寧に使っていただいて、月ごとにきれいに使っていただいているというのは、つどご連絡いただいて我々のほうも把握していました。 昨年の年度末あたりに、「更に一歩進んだ使い方をどうしようか検討中」というメールをいただいていた中で、2ヶ月単位に切り替えられたのは、今年度から始められていたんですね! 使っていく中で、皆さんも Helppad について段々と分かりつつ、自分たちの動き方も分かりつつ、自然と使い方が変化していったのでしょうか。
 
斎藤: そうなんです。最初は、音が出る機能もあって、色々やっているうちに、夜はうるさいよねとかいった意見が出てきて、(音を)なくしてみようとなって。で、青いカバーも洗濯すると縮むよね、となって、今はタオルを敷くやり方をとっています。 使っていく中で色々わかっていくことがあるので、2ヶ月でやるのがうちのスタイルにあっているのかな、と思いますね。
 
aba 沼田: その中ですごいなと思ったのが、1ヶ月目でモニタリングされているということです。 Helppad の1日2日のデータってそれだけでは役に立たないですが、データは蓄積されるからこそ傾向性がわかってきます。 まずは1ヶ月のモニタリングで大体の傾向をつかんで、2ヶ月目からは交換タイミングなどケアのタイミングを見直してみる、という使い方が、Helppad を見事に活用してくださっていると感じました。 「この方は定時の5時のところを4時半にしてみよう」みたいな。この変更のところが皆さん難しいのですよね。「本当なのか」といった疑問とか。 そうは言っても人の排泄って時間ピッタリに出るわけじゃないので、「変更したからといって…」っていうところもあると思いますし。 このケアのタイミングを見直している期間に、職員様の間でいろんなご意見が出ると思うんですけど、そのあたり、どういう意見がありますか? やっぱり、「変更してもだめじゃんか」とかもありますか?
 
古川: 排泄委員で取り組んでいるので、そこまで違うよっていうのはあがってこなかったかなと思います。
 
沼田: おそらく排泄褥瘡委員会さんの信頼性が高いところにたぶん Helppad が助けられているなという風に感じました。
 
斎藤: 最近思ったのは、2か月の内、最初の1ヵ月のモニター期間でしっかりデータをとらないと、後半の1か月が活きてこないんです。 課題としては、利用者様がご自身で(Helppad の部品を)引っこ抜いてしまう人とか、日中あまりデータが取れない人とか、なかなかデータが集まりにくい状況があると、2か月目の精度も下がってしまうのかなと自分は思っていて。
 
aba 沼田: おっしゃる通りです。Helppad はたくさんのデータから学習や予測をしていくので、データがないところからの予測では、やはり数が少ないと AI もお利口さんにならないので、データの数が命ですよね。 ありがとうございます。使いこなすという意味では、大変参考にさせていただきます。 施設さんでは購入前に「本当に使えるのか」とか不安な方も多くて、そういったときには朋松苑さんのお話はよくさせていただくんですよ。 きちんとした委員会で管理されてうまく活用されているんですと伝えると、「なるほどね」ってみなさん納得してくださいます。 ありがとうございました。 私からの質問は以上なので、加賀美さんにバトンを戻しますね。
 
 
 

利用者の排泄タイミングに合わせたスケジューリング

aba 加賀美: 現在の使い方で、利用者様全員のデータを取って行くと、それぞれの利用者様の排泄の時間が一定ではなくて、それぞれの利用者様のベストなタイミングに合わせた見回りになると思うんですけど、それで今のところ、例えば、変更したタイミングでスケジュールを組んだりするなかで難しい点などはありましたか?
 
古川: 夜間帯とかですと、決まった時間に行けない、とか決まった時間に他の業務をしなければいけないといったことも出てきてしまうので、多少のずれはやはりでてきてしまうのかなと思います。
 
加賀美: その空いた時間を他の業務に当てられたりもしているんですね。
 
古川: 夜間帯ですと、見回りの時間が決まっていて定時に見回りに行っているんですけど、Helppad のセンサーで排泄の入るタイミングの変更はできました。その時間帯には見回りには行かずに、あとの時間、次の見回りのときに行こう、ということができている人もいます。
 
加賀美: なるほど、ではまだ排泄は大丈夫なのであとのほうでもいいよね、というところで、排泄の見回りの数はどのくらい変わりましたか?
 
古川: そうですね、見回りの回数は減っていると思います。
 
 
 

Helppad への改善リクエスト!

aba 加賀美: 最後にお聞きしたいのですが、Helppad を使用していて「もっとこうだったらいいのにな」とか「こういう改善があればいいな」といった点はあるでしょうか?
 
古川: 今はパソコンのほうで見ているんですけど、タブレットとかの小さな端末でも表示が見れたらいいのかなと思います。 職員がパソコンで見ていて、どうしてもステーション(事務室)に行かないと見れないというのがあるので、手軽に見れるようになれたらいいのかなと思います。朋松苑では iPad を導入しています。
 
濱口: 自分からは、車いす用ってできますかね。臥床しているだけじゃないときも、日中車いすで起きていらっしゃる方の排泄パターンもわかるように。 そういうのがあったら、もっといいデータがとれて、日々のトイレ誘導に繋がるかなと思います。 利用者さんの不快感やお尻の状態もわかれば、助かるかなと。
 
aba 加賀美: そうですね。これからももっと利用者様や介護職員様にとって、よりよい体験ができるような支援をさせていただけたらと思うので、今後ともよろしくお願いします。 本日はありがとうございました!
 
 
 
インタビュー・執筆:加賀美 明