ヘルプパッドへのエール

介護の業界もここ数十年で
イメージが変わってきました

ー普段はどんなお仕事をされているのですか?

ユアハウス弥生というところで小規模多機能型居宅介護の部長職をしています。
現場のお仕事もさせていただいておりまして、オムツ交換とかお風呂とか、夜勤なんかもやりながら事業所の管理をやっています。
他には、日本介護福祉士という国家資格を主催している団体の東京都の理事をやらせていただいています。

元々高校生の時に進路をどうしようか考えていた時に、当時はIT業界と介護業界は一生安定の成長産業だと言われていまして、すごくポジティブな情報がいっぱい出てたんですね。
それで、都内の福祉系の学校に入学しまして、そのまま就職活動して高齢者の介護の会社に入ったという流れですね。

※小規模多機能型居宅介護:施設への「通い」を中心に、短期間の「宿泊」や自宅への「訪問」を組み合わせ、生活支援や機能訓練をひとつの事業所で行う在宅介護サービスの一種

現場にも立ちながら、業界全体を俯瞰視できる金山さんの存在は貴重だ
現場にも立ちながら、業界全体を俯瞰視できる金山さんの存在は貴重だ

論理的に介護の現場を
分析していくこと

ーabaの宇井さんとは何をきっかけに出会ったのでしょうか?

宇井さんは元々うちの上司の飯塚のところでボランティアをしていて、Helppadを開発する上でもっと現場を知るためにアルバイトをしたいということで、うちの事業所で働かれるようになりました。

初めてお会いしたときから、すごく積極的な人だなという印象がありましたね。
いわゆる介護の仕事って、感覚とか経験値とかでノウハウを貯めていく方が多いのですが、宇井さんは理系だからなのか、彼女の中で常に数通りの介護の方法を仮説として立ててから現場にのぞむんですよね。
何かうまくいかないことがあれば原因を追求をして、次の方法を探るという論理的な思考が強いので、介護職としては珍しいタイプだったんです。
かといってクールなわけではなく、お年寄りとの関わりが本当に暖かくて。
彼女が夜勤をやっていた時も、なかなか眠れない利用者さんのところに行って一緒に添い寝するなど、本当にお年寄りに好かれる方でした。
彼女自身の結婚式にも利用者さんを招待したり、ご家族とも一緒にお出かけしたり、すごく良い関係を作りながら、それでいてロジカルな思考を持っているというバランスが素晴らしいと思います。

排泄ケアの効率化は介護業界全体の課題だと金山さんは語る
排泄ケアの効率化は介護業界全体の課題だと金山さんは語る

排泄を予測できれば
業務を効率化できる

ーマネージャーという立場から、介護施設での排泄ケアにはどのような課題をお持ちですか?

やっぱり排泄というのは予測ができないので、ケアスタッフのオペレーションもなかなか効率的に組むことができません。
例えば、朝起きる時間に利用者のみなさんがトイレの連続ということになると、ケアスタッフの業務的にもやっぱり負担がかかるんですよね。
一人の方を介助している間に、すぐ排泄しそうな方が後回しになってしまって、結果その方が失禁してしまっていたということって非常に不幸なので、そういうことはなるべく解消したいなと常々思っていました。
その排泄のリズムがある程度把握することができれば、順番に排泄のお手伝いをしていけば、利用者さんたちもストレスがかかりませんし、私たちにとっても楽だと思うんですよね。

感覚値に根拠を与えることで
介護のハードルは下がる

ーHelppadは排泄ケアの改善にもつながると思いますか?

やっぱりHelppadの思想の根底には、彼女が現場で感じてきたオムツを交換する苦労だとか、「自分が良い介護をしているかどうかがわからない」という不安が原点としてあることがとても大きいなと思っています。

高齢者に限らず、私たち自身もトイレに行くリズムは人によって差があると思います。
少しずつ定期的に出る方もいれば、朝に一気に出る方もいる。
そういったことってケアスタッフの感覚値でやっているものがあるので、ベテランになればなるほど予測できるようになるのですが、新人さんとか慣れていない方にとっては非常に難しいものです。
そういった意味では、排泄が予測できるというのは双方にとって非常にいいことですし、介護施設の業務改善にとってものすごくインパクトの大きいものになると思っています。

そして、介護を受ける方が多く住んでいるのはまだまだ施設ではなくて、ご自宅なんですね。
お家の中でも排泄の介助をケアスタッフやご家族がしていく時代はもう始まっているので、自宅で慣れていない人が排泄の管理をサポートできるHelppadは、日本経済にとっても非常に大きな効果が期待できる製品だなと思います。

施設だけでなく在宅でも気軽に使われることが期待される
施設だけでなく在宅でも気軽に使われることが期待される

より専門的に
より倫理的に

ーこれから介護業界に必要なことはどんなことだと思われますか?

介護職はただのサービス業ではなく、お医者さんなどと同じ専門職だと思っています。
専門職としての力量を高めていかなければいけない反面、それを保管してくれるようなバックアップは必ず必要になってくるんですね。
医療の現場でもドクターやナースの専門性は高いですけれども、彼らが使っている医療機器というものの性能もすごく高度なものです。
そういった意味でHelppadは、ケアスタッフの専門的な能力を保管して、より高めてくれるツールになると思うんです。
そして、そういった製品やツールを使う私たち専門職が高い倫理観を持っていないと、いかに良い製品があったとしても介護現場の課題は決してなくなることはない。
自身も信念を持ちながら、Helppadをうまく使って、なすべき仕事をしたいなと思っています。

Profile

金山峰之

日本社会事業大学 社会福祉学部 卒業後、大手介護企業、NPO法人を経て現職。介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員。訪問入浴、訪問介護、通所介護など在宅介護を中心に現場を経験。生涯現役、生涯現場をモットーに、2007年よりブログ「介護の専門性新提案」を続けており、介護福祉の専門性を考えながら、実践の場に立っている。現場の傍ら、東京都介護福祉士会理事、文京ブロックや青年部世話人を担い、職能団体の活性化をはかる活動や、介護関連の講演、講師、教育活動に取り組んでいる。KAIGO LAB 第1期生。