ベッドに敷きゃあいいっていう。夢の技術。
-介護を題材に漫画を描こうと思われたきっかけはなんだったのでしょうか?
私が漫画家として描こうとしているテーマは一つで、スーパーヒーローじゃない普通の人なんです。
自分の中に葛藤をいっぱい抱えていて、もしかしたら自分を過小評価している人に、ありのままで100点じゃんっていうことをお伝えしたくて、漫画を描いてきました。
ふと考えてみると、介護という世界は自分がまさに描きたいと思っている色んな葛藤が渦巻いていて、凝縮されている象徴だなと。
介護の現場を題材として、自分の言いたいことを描かせてもらっているっていう感じでしょうか。

現場で働く人に会う度に、その真摯なかっこよさに惹かれるとくさかさんは話す
正解がないからこそ信念が必要な仕事
ー実際にたくさんの介護現場を見てきて、どんな印象を持ちましたか?
漫画を描く前は、介護の世界についてあまり知らなかったものですから、介護ってこんなものだっていうイメージを持っていたんです。
なんとなく知っているつもりだったんですね、恥かしながら。
けれど見学をさせていただいたリアルな現場は、目の前の人が幸せになるなら何をやってもいい、っていうとても自由でチャレンジングでキラキラした場だったんです。
そのギャップに驚きましたよね。
どれだけ自分が介護について知らなかったかに気付かされました。
ただ、正解がないからこその重責感っていうのはすごくあって、自分を信じていないと前に進めないというか、いいじゃんこれで!みたいなノリがなければできない仕事ですから、私の伝えたいことがそのまま当てはまるなと思いました。
そりゃ失敗することもあるでしょうが、楽しくしようと思ってやったことで失敗したなら、また別のこと考えればいいわけですから。
心からそういう気持ちでやっているのであれば、入居者さんも受け止めてくれるだろうみたいな。
とても良い世代間の共存っていうんですかね、その懐の深さを感じる現場が魅力的だなあといつも思っています。
新しいことを起こす勢いのある情熱
ーはじめてabaの宇井さんと会ったときの印象は?
気持ちがいっぱいある人だなあ!と思いましたね。
人の姿をした気持ち自体が、とにかくなんでもいいから前に進もうとしてるというか。
当時はかわいい女子大生でしたが、未来を切り開くんじゃという戦国武将みたいな気合いのギャップがとても面白かった。
今から新しい時代をつくる人ってこういうエネルギーときらめきを持った人なんだと、秘めたる力をすごく感じましたよね。
元々「ヘルプマン」を読んでくれていて、私が住む高知までわざわざ会いに来てくれたんですけれど、別に具体的なお願いとかがあるわけじゃないんですよ(笑)。
ただ彼女の中では、とにかく会ってみたら、なんか新しいことが起こるんじゃね?みたいな感覚で来られた感がすごい気持ちがいいというか、まず行動することで切り開いてきたんでしょうね、今までね。
その情熱にみんな惹かれているんだと思いますよ。

実際に寝てみて、寝心地のよさを確かめていた
ベッドに敷くだけってのがいいですよね
ー完成したHelppadをご覧になって、いかがでしたか?
簡易な感じがすごくいいなって思ったんです。
何か扱いが難しくて専門性を誇示する様なものではなく、ベッドに敷きゃあいいっていう。
簡単なものがとても力になるのって理想ですよね。
やっぱり役には立っても福祉器具って、「ああ、自分はもう要介護なんだ。介護生活なんだ」っていうのを感じさせてしまう製品が多いので、必要なんだけど嬉しくないっていう様なところがあると思うんです。
実際に寝てみましたが、普通のお昼寝マットみたいなところがとてもいいですね(笑)。
すごく身近で平易なんだけど、その裏には最先端のロボット技術が組み込まれている。
夢の技術ってそんなもんなんじゃないのかなと思いますね。
介護の現場で働く人にはもう、ありがとうございます!という言葉を伝えたい。
自分たちが時代のランナーなんだって言うことに胸を張ってやっていっていただきたいなと思っています。
Helppadとともに、自分に王冠を乗っけるくらいの気持ちで、これからの世の中を支えていただければ嬉しいです。