現場で働く方々と、一緒に作り上げた製品です

このインタビューは 2017 年時点のものです。
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story vol.3 パラマウントベッド株式会社 技術戦略室 課長 山口悟史

新しいアイデアと蓄積した経験から生まれた

ーHelppadの開発ではどんな部分を主に担当されたのでしょうか?

主に商品の企画を担当しておりました。 開発の初期段階では、量産の開発担当部隊はまだついていませんでした。 Helppadに本当に実現性があるのか、商品性があるかということを見極めるというのが最初の仕事でしたね。 試作品を介護施設に持ち込ませていただいて、排泄がちゃんと検知できるかといった基礎的なところをabaの宇井さんたちと一緒にやっていきました。
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aba社とパラマウントベッド社で数え切れないほどの議論が重ねられた

情熱がプロジェクトを前に進めていく

ーもともとabaの宇井さんとはどのように出会ったのでしょうか?

宇井さんが2012年に第9回キャンパスベンチャーグランプリ 経済産業大臣賞(日刊工業新聞社)を受賞されたのを、雑誌の記事で見かけました。パラマウントベッドがやりたいこととかなり近いことを目指されているなと感じ、ご連絡をさせていただいたことがきっかけです。 その二週間後にすぐにお会いして、初めてHelppadの試作機を見せていただきました。
初めてお会いした時は正直、本当に駆け出しのベンチャー企業だなという印象でしたね(笑)。 ただ、介護施設に入り込んで現場の声を丁寧にヒアリングされていたり、下地のところを地道にやられている姿勢を目の当たりにしてから、その情熱にどんどん引き込まれまして、一緒にやらせていただきたいなと感じるようになりました。
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現場に何度も足を運ぶことで、開発メンバーのモチベーションも高まっていったという

現場の協力があってこそ完成した製品です

ー開発の中でどのようなところに苦労されましたか?

主に介護施設でご利用いただく製品なので、介護施設でちゃんと使えるかというテストは必要不可欠でした。 日頃の業務のオペレーションを乱すことなく、入居者さんに大きなストレスを与えることもなく配慮して試験を行うのは、ケアスタッフの方々の多大なる協力があったからこそで、メーカーだけでは成し得ることはできませんでした。 宇井さんが我々と出会う前から、介護現場の方々としっかりと信頼関係を築いていてくれたおかげで、Helppadは完成したと言っても過言ではないでしょう。
また、センサーと匂いの元の距離が離れてしまうと、外乱が多く入ってきてしまい、誤報・誤検知してしまうといった点にも苦労しました。 aba社の方でつくっているアルゴリズムの検証を重ね、我々のハードウエアも工夫し、合作で改善していきながら開発してきました。

何も身に着けないベッドに敷くだけ

ー開発の中でこだわった部分はどんなところでしょうか?

私が最もこだわった部分は非装着であることです。 オムツの中にセンサーを仕込んで排泄を検知するものはすでにありますが、要介護の方に紐をつけてしまう状況になります。 そういった自由を奪っているような印象がどうしても納得できませんで、私の中では非装着型であることは最初から譲れないポイントでした。
正直もっと早くできるべきだったのかもしれません。 ただ、中途半端なものは出しちゃいけないという熱い思いが開発メンバーの中にあったため、私たちが開発に関わってから製品化まで5年かかってしまいました。 実際にHelppadを使用されるケアスタッフの方々やご家族の方に、今までとは違う排泄ケアを実現するためにこの製品を使ってくださいとお伝えしたいです。
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非装着のシート型でベッドと一体になる

オムツのいらない世の中を目指して

ー介護分野におけるこれからの展望などはありますか?

残念ながらHelppadがすべてを解決する最終ゴールではないと思っていますし、なるべく長い間オムツをつけないで済むにはどうしたらいいかということを真剣に考えていきたいです。 Helppadで収集するデータも活用しながら、一度着けたオムツをもう一度外すにはどうしたらいいか、そういった世界を現場のみなさんと協力してつくっていけたらと思っています。

Profile

山口悟史

大学卒業後、2000年にパラマウントベッド株式会社に技術職として入社。ICU向けなど専門性の高いベッドの開発に携わる。その後、現在の部署の前身である製品企画課へ異動し、病院、施設、在宅向けなど多くの製品の企画を担う。 技術系の社員で意見を出し合うグループ活動があり、その中の排泄ケアグループに参加。活動を通して、排泄したことを検知できるセンサーがあれば、排泄ケアの改善に繋がる可能性を感じ、排泄検知センサーの開発を企画立案。「Helppad」として実現に至る。